Barceló Sants 滞在記
バルセロナのホテル名がバルセロ!
ややこしすぎるんですよね。バルセロはホテルチェーンの名前で、バルセロナは都市の名前です。その中心駅の名前がSants。バルセロナには大きな駅が二つあり、一つは高速鉄道のAveも発着するSants駅、もう一つは在来線の長距離国際列車が出るFranca駅。当然今ではSants駅の方がメインです。とはいえSantsもFrancaも街の中心ではありませんので、普通はSants駅に宿を取る人は少ないでしょう。でも私はこのホテルに泊まりたかったのです。
その理由は、ホテルのテーマが宇宙船だから。
どんなとんでもホテルなのか!!
入口からぶっ飛んでる
Sants駅からホテルに入るには多分一旦駅を出ないといけないのですが、通用口から入ると、こいつがお出迎え。R2D2やん。
チェックインしてエレベーターホールに行くと宇宙船のコックピット。
三階に上がると廊下は宇宙船っぽい ひょ〜ろろろろって音がなってまして、見た目がこちら。
丸いボールは椅子になってます。座れるのかこれ?
部屋はまあ普通
部屋はさすがに普通でした。清潔度は高いよ。ミニバーもビールくらいなら入ってます。
まあ、壁から宇宙飛行士の頭が突き出してるとか、普通では無いのですが、パブリックスペースに比べると普通です。
宇宙家族ジェットソンって知ってます?まさにそんな感じのホテルでした。
http://www.cartoonnetwork.jp/sp/cn_programs/view/00109
その他の情報として‥
ちなみに従業員の対応は本当に中の中、朝食会場も広くて空いてるよ。でも卵料理一切ない。それと、10時くらいに朝食行くとAir Chinaのクルーが来て我が物顔に振る舞うから感じ良くなかった。
LH1132 FRA BCN Yクラス
イミグレのクレーマー
フランクフルト空港のイミグレは以前に比べてうんと厳しくなっていました。まあ難民が押し寄せてる時期ですし仕方ないんでしょうね。しかし、「子供が泣くほど待たせた事を謝罪しろ!」って入国審査官に食ってかかりまくってる中華系がいてレーンが一つ減ってしまうのは頂けなかった。早く逮捕されないかなーと思ってたか、本当に警察と思しき人が来て一件落着してた。すでに入国許可もらってたっぽい。
手荷物検査も乗り越え
で、ラウンジなど寄る時間は1秒たりともなく、次のゲートに移動。EU域内行きだから手荷物検査もまたあるんですよ。なぜかやたら折り畳み傘をしげしげ見てた。不審物を紛れ込ませやすいらしい。そういえばシドニーでは傘開いてチェックしてたなー。
やっと搭乗
で、ご搭乗。フツーのA321です。座席サイズも日本と同じですね。4割ぐらいしか埋まってなうけどドアクローズ。
で、タキシング開始なんですが、エンジンアイドルのままなのに進んでいく。どうやらトーイングカーが滑走路まで運んでるみたいですね。と思って調べて見ると、電動トーイングカーでエコ!って事みたいです。
http://m.aviationweek.com/awin/electric-taxiing-systems-make-development-progress
これが実用化されてるっぽい。さすがドイツ。744をリプレースするほうがエコフレンドリーだと思うが。
で、巡行。12時間のフライトの後なので尻が痛い。もう堪忍してくれという事で、二席使って尻を浮かせながら飛行。
謎のコーク推し
途中でパウンドケーキくれた。
飲み物は?というのでホットコーヒーをと頼むと、提供してないらしい。あらら。じゃあ‥(日本ならすかさず緑茶なんだけど、ここではハードル高いよな)と迷っていると、コークがいいよコークが!と言い出す。余ってたんだろうね。じゃあコークにするよー。ってことで貰った。グッチョイスとか言ってた。なんなんだろう。
で、その後右旋回してバルセロナのエルプラット国際空港に着陸。名前がかっこいい。
LH741 KIX FRA PYクラス
学会に参加するため、4泊6日の日程でスペインのバルセロナにショートトリップしてきました。Lufthansaのビジネスクラスはあまり評判が良くない上に、往復で70万円とか法外な値段が出てくるので、今回はロングエコノミーで行ってみることにしました。ただ、Ho Chi Minh cityから成田まででも本物のエコノミーでは我慢できなかった経験があるため、今回はプレミアムエコノミーにしてみました。値段もまあまあ常識の範囲かな・・。
朝8時ごろに大阪を出発するリムジンバスで関西空港に向かいますが、バスが満席で補助席に何とかありつける状態でした。「満席、だめだめ」と横柄な態度をとる近鉄バスのスタッフに食い下がっていると補助席が空いていると他のスタッフが助け舟を出してくれたので私を含め3人さらに乗れました。そんなことするからどんどんお客がたまっていくんだぞ。
定刻で関西空港に到着したものの、チェックインしようと思うのに何か足りない。カウンターの前にいってはじめて気づいたのが、「eチケット印刷忘れ」だった。あらごめんなさーいと言いつつ国内線出発フロアのコンピニのネットプリントで印刷し、素知らぬ顔をして時間ぎりぎりにチェックインしました。ANAのおねいさん焦ってました。その後スタッフ用の手荷物検査に案内されてスルスル―っと出国審査も抜けてチェックインカウンターから5~6分でエアサイドまで来ました。ウイングシャトルにのって最果ての11番ゲートまで移動・・。
おおお、やっぱりジャンボでかいなーと感心しながら待っているとほどなく優先搭乗開始。トルコ航空のeliteなのでPYですがさっさと乗り込みます。ものすごく気取ったルフトハンザの日本人マネージャーみたいな人がANAのグランドスタッフに偉そうにしててビックリでした。ブリッジを通って機内に足を踏み入れるもビジネスクラス用の飲み物の容易で忙しいギャレーに人のいる気配がするだけで無人・・。エコノミーで優先搭乗するとこういう仕打ちをうけるんだ~と思いながらおとなしく着席。隣はオタッキーなドイツ青年でした。
IFE解像度高すぎて自分が映ってしまいます。到着後に早速予定があるのでシャツ来てますが、離陸したら着替える予定でした。
何かもらいました。実は開けてません。
シートピッチは96.5cm、幅47cmということで、近鉄特急とほぼ同じってところですね。ご存知の通り私は身長180cm台ですが、足元には余裕があります。
座席は26Aだったのですが、この座席の窓だけこのように外側のガラスが結露しているのですね。他の窓はそんなことにはなっていないのですが・・。結局この窓はフライト中ずっとこの程度濡れたままでした。たぶんずっと乾燥していることが無いんだと思います。腐食とかしないのか心配になるぐらいです。
離陸して1時間半すると日本時間でお昼ですので、昼ご飯が出ます。サーモンをチョイスしたら・・これなんていう料理??炊き込みごはん?向こう側にあるのは冷ややっこではありません。何かのスポンジケーキです。ほぼスポンジだけでしたが・・。
左下、右下、右上に炭水化物が見えます。そしてご飯は粒がなくてねちょねしたペーストになってます。どうやったらこうなるんだろう‥。茶そばにかき揚げを置いて天ぷらそばにしているのは見たことないけど工夫の跡は認めましょう。
上空ではTシャツに着替えるつもりでしたが、預入荷物から引きずり出し忘れたので、シャツのままで過ごす。しんどい。ロシアの真ん中ぐらいに来ると飲み物とおやつが来ますが、またおにぎり。炭水化物。緑茶と一緒にサーブされるのは評価します。
さて、ヘルシンキ上空も超えたし夕食?かなにかよくわからないタイミングの食事。チキンをチョイスしたらまた出た。ペースト状のご飯にのったチキン照り焼き丼。そしてパン。フルーツと相まって糖尿病になりそうです。てか糖尿病ミール頼んだら何が出てくるんだろう?というぐらい炭水化物攻撃。
もうじきフランクフルト到着ですね。このころになるともうお尻が痛くて褥瘡が出来そうになってます。早く着いてほしい一審で上着まで用意してますね。
このヘッドレスト上に異動するし自由自在に形変えられるので、とっても頭を支える性能がいいです。最近日本では下向きヘッドレストがはやっていて閉口しますが、この座席は快適でした。さすがドイツ。
最後まで結露が採れなかった窓です。この窓のせいで機外の写真は一枚も取れませんでした。
FRAに到着。Z69という最果てのスポットに止められる。乗り継ぎ時間短いのに堪忍してくれよ・・。ここで300人ほどの大阪人がドイツに解き放たれました。怖いねー。ここから先は手荷物検査+入国審査と厄介ごとが待っています。乗り継ぎ時間1時間40分しかないのでギリギリです。
渡航医学 全海外旅行者に麻疹ワクチン推奨開始
麻疹流行の歴史
麻疹は死ぬかもしれない病気である
日本では江戸時代から麻疹は「命定め」といわれており、命にかかわる病気であると認識されていました。大人になってから麻疹になると重症になることは江戸時代から知られており、無事治癒したことを祝って宴会をしている絵さえ残っています。
一般的に成人麻疹の死亡率は0.5%程度と考えられ、妊婦では3%程度です。めちゃくちゃ高い数字です。妊娠中に麻疹にかかると100人中3人死ぬなんて、今の日本では受け入れられません。
20世紀の麻疹対策
日本では1978年に麻疹ワクチンが定期接種になりましたが、ずっと1歳時に1回接種するだけであったため、効果が不十分な状態が続いておりました。麻疹ワクチンは2回接種するか、抗体上昇を確認するのが基本なのです。1回接種して打ちっぱなしでは免疫がつかないまま放置されている子供がいっぱい残っていることになります。
21世紀になってから
時代は下って21世紀、日本では定期的に麻疹が大流行しており、2001年の流行では全患者数は17万~33万人と推定されるなど大変な状態でした。2007年の関東を中心とした流行は、2001年の流行より規模は小さかったものの、米国から厳しい対応を取られた結果、本格的に麻疹排除に向けた動きが始まりました。具体的に米国から非難された内容は以下の通りです。共同通信の2008年2月22日の記事ですが、リンクが消えてしまっていますので、コピーしておきます。
【ワシントン21日共同】米疾病対策センター(CDC)は21日、昨年夏にスポーツの国際大会で訪米した日本人の少年が感染源となり、米国内で日本人1人を含む計6人がはしかを発症したと週報(電子版)に発表した。
国際大会では感染の危険が高まるとして、主催者が海外参加者に対し、はしかの予防注射の証明書を提示させることを検討すべきだとしている。はしかの予防注射が徹底している米国では、近年ほとんど発生が確認されておらず、米国の保健関係者は「日本ははしかを輸出している」とたびたび非難している。
CDCによると、昨年8月に米東部で開かれた大会に、日本から12歳の少年が参加。少年のきょうだいは日本ではしかに似た症状を発症していたが、少年は米国滞在中にはしかを発症し、州政府への通報後、隔離された。
なかなか辛辣ですね。
ただ、行政は全く手をこまねいて見ていた訳ではありません。2006年以降は定期接種に組み込まれていた麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を2回接種にするという対策を行っていました。この接種方法は世界標準の接種方法です。
第3期・第4期接種と土着ウイルス排除
以後、文部科学省と厚生労働省は、1回しゅか接種機会が無かった若年者に対してMRワクチン接種追加接種を受ける機会を設けるべく思い切った方法に出ました。2008年度~2012年度にかけて5年間だけの時限措置として、中学1年生、高校3年生に相当する年齢層に1回MRワクチンを定期接種扱いで接種可能にしました(それぞれ第3期、第4期)。
厚生労働省:平成20年4月1日から始まる中学校1年生・高校3年生に相当する年齢の方への麻しんの予防接種について
その結果、麻疹患者は減少し、2015年5月に世界保健機関西太平洋事務局(WPRO)により日本固有の麻疹ウイルス株が排除されたと認定され、日本に古くから土着しているウイルス株による麻疹は国内からいなくなりました。
WPRO | Brunei Darussalam, Cambodia, Japan verified as achieving measles elimination
2016年の麻疹流行
2016年には近畿地方と関東地方で大きな流行がほぼ同じ時期に発生しました。関西空港ルートと松戸ルートと便宜的に命名します。実はそれとは遺伝子型が異なる症例も報告されており、本日までの今年の全症例数152例は、この二つのアウトブレイクだけで生じたものではありません。
関西空港ルート
7月31日に関西空港を利用した19歳男性が発端です。その日に関西空港の利用者2名以上に感染させてしまいました。その後空港従業員への感染が確認され、そのルートから空港従業員や航空会社職員に30人以上の感染者を生みました。また、発端の19歳男性は兵庫県内の自宅で家族4名感染させた後、あろうことか発熱しているのに幕張メッセで行われたコンサートに参加し、そこで不特定多数の人に感染させたとみられます。コンサートで感染した患者がさらに立川市のイベントに行き、そこでも多数に感染させた可能性があります。このルートから検出されたウイルスの遺伝子型はH1で、輸入されたウイルス株でした。
松戸ルート
松戸ルートの発端者は海外渡航歴もない患者で、感染ルートは不明です。7月初旬に発症したと考えられています。7月10日以降家庭内、地域のイベント通じて地域に感染が広がり、8月に入ってから医療機関で院内感染が生じた結果、その病院の受診者が次々感染しました。このルートで検出された麻疹の遺伝子型はD8です。
実は今年日本で報告された麻疹の中には遺伝子型B型の症例もあり、上記以外にも国外から持ち込まれている麻疹症例が少なからず存在することがうかがわれます。
最近の麻疹の特徴
麻疹は本来子供の病気のはず。通常は小児科医なら対応できるはずです。しかし知り合いの小児科の先生に聞いても麻疹を診たことが無い若手小児科医は多いそうです。ではだれが麻疹になっているのかというと、以外にも成人でした。2013年の麻疹患者の年齢分布をグラフにすると次のようになります。2/3は成人でした。
一方で、上でも述べたように国内土着の麻疹ウイルスは排除されており、日本で発生する麻疹は全て国外の麻疹ウイルス株です。もともと日本に存在した遺伝子型D型は下のグラフではもはや登場しません。今年日本で流行したウイルスも海外から持ち込まれたものです。
つまり、麻疹は大人が海外旅行した時に国内に持ち込む輸入感染症ということです。
ワクチン接種推奨の変化
しかし健康で忙しい世代の大人をワクチン接種に連れて行くのは至難の業です。私は渡航者外来をしている立場ですから必要ならポンポンワクチンを打てますが、通常のサラリーマンは無理でしょう。というわけで、「健康な大人が医療機関に来るタイミング」を狙ってワクチンを接種する作戦を立てる必要があります。
健康診断、女性なら妊娠出産のタイミングなどが考えられます。近年徐々に重要性が認識されてきている海外旅行前ワクチン接種に組み込むという方法も有効です。
というわけで、厚生労働省は早速海外旅行に当たり推奨されるワクチンを見直し、「渡航地域や期間の長短を問わず、2回のワクチン接種歴が無い場合は全渡航者が麻疹ワクチンを打つべきである」と推奨を変えました。私自身ここまで急激な変化がお役所の仕事で行われるとは思っていなかったので、驚きました。嘘だと思う方はご確認ください。
皆さんも麻疹風疹(MR)ワクチンをぜひ接種しましょう。
渡航医学 ジカ熱って何?
今年は2016年ですので、4の倍数の年。つまりオリンピックイヤーです。前回のオリンピックがソチオリンピックでしたから、もう4年も経ったわけです。
今年のオリンピックが開催されるのはリオデジャネイロです。ブラジルを取り巻く環境は厳しく、政治的に混乱が続いています。
近年はテロの危険性も高まっているため、オリンピック期間中は国を挙げて厳戒態勢を敷くはずなのですが、トップの大統領は弾劾されて職務停止・・。これは怖い話です。
そして、ブラジルで今もう一つ心配な話題がジカ熱の流行です。
NHKのドクターGでも取り上げられていましたが、ジカ熱は割と特徴的な疾患です。また予防方法もシンプルですので、どんな病気か~予防法までまとめてみることにします。
ジカ熱とはどんな病気か?
まず知っていただきたいのは、ジカ熱で罹った人が死ぬことはほぼ無いということです。デング熱やマラリアのように場合によっては死ぬ病気ではありません。
実は以前ミクロネシアでジカ熱が流行した時に、症状や広がり具合を調査した論文がありますので、それを見ながら解説していきましょう。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0805715
潜伏期間はだいたい2日~1週間程度と言われています。我々の業界では短めです。
症状は発熱、頭痛、関節痛、結膜充血、皮疹が多くみられると報告されていますが、上にあげた論文の中では発熱が見られたのは65%程度で、発熱といっても37.9 ℃を超える者は1人もいなかったと報告されています。ジカ「熱」というよりジカ「微熱」ですね。そして、皮疹の方が90%程度出現すると報告されていますので、デング熱の様な強烈な熱が出て「ひーひー」言うという感染症ではありません。
また、皮疹は熱が出ると同時ぐらいから出現する様で、解熱したころに皮疹が出るデング熱とは異なります。
上記の様な症状が3日~12日持続して治ります。
血液検査所見でも血小板減少や白血球減少は無いか軽度であまり派手ではありません。また炎症反応とよく称されるCRP上昇もまれとされています。
そんなに怖くない・・。というのが率直なところですね。
それから、ジカウイルスに感染しても8割ぐらいは症状が出ません(不顕性感染)。
感染経路
もともとはサルと蚊の間をぐるぐる回っていたウイルスでしたが、人間の森林への侵入により人に感染症例が発生し、その後は人から人へもぐるぐる回るようになりました。
ウイルスに感染した人間を刺したネッタイシマカorヒトスジシマカ(ヤブカでいわれる蚊です)は、1週間程度の間にウイルスを体内で増殖させ、他の人に感染させる能力を得ます。その蚊にさされると感染が成立します。
特に都市部に多い蚊で、デング熱や、チクングニアを運ぶのと同じ蚊です。
人から人への感染はこのほかにセックスによっても感染します。したがって、感染が疑わしいか確定している場合はセックスはやめた方が良いわけです。またジカ熱から回復して62日たっても精液にジカウイルスがいたという報告もあります。
合併症
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小頭症
ブラジルで今問題になっているのはジカウイルスの胎児への影響です。ジカウイルスのウイルスはお腹の赤ちゃんの神経細胞の発達を阻害すると言われており、脳の発達が阻害されます。その結果頭部が極端に小さい赤ちゃんが生まれてくるのです。これが「小頭症」です。当初は関連性があるかも・・といわれていましたが、アメリカのCDCは公式に関連性を認めました。
Possible Association Between Zika Virus Infection and Microcephaly — Brazil, 2015 | MMWR
ざっくりまとめましょう。
まず妊娠を3つの期間にわけ、最初の1/3の時期(第1期: first trimester)にジカウイルスに感染すると小頭症が多い(57%)が、第2期(second trimester)でも多少みられる(14%)。
別の研究では第3期(third trimester)でも多少の脳の異常が出現していることがあると報告されている。
若干男児に多い(60%)が、サンプルサイズが小さい研究なので分からない。
頭囲が通常より3SD以上小さい重症の小頭症が71%を占める。
眼底の異常を伴っていることもある(18%)。
筋緊張の異常(37%)や、何らかの神経学的異常(49%)を伴うことが多い。
脳の石灰化を伴っていることが多い(74%)。
妊婦にジカウイルスは大敵ということがお分かりと思います。したがって、下の方で述べる予防がとても大事なのですが、ジカウイルス感染症を疑う妊婦さん向けのフローチャートがCDCから出ています。
上のフローチャートを見ると、結局は「フォローアップ」したり、「羊水のジカウイルス検査をする」というところで終わってしまいます。つまり、母体がジカ熱に感染したあとから確実に小頭症を避ける方法はないということです。
妊娠中はジカ熱に罹らないのが大事ということになります。
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ギランバレー症候群
ジカ熱の後にギランバレー症候群という末梢神経疾患が生じることがあると報告されています。
ちなみに、ギランバレー症候群が良く分からない場合はWikipediaをどうぞ。とても充実しています。→ギラン・バレー症候群 - Wikipedia
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2816%2900562-6/abstract
長い表orz。全部日本語に直す気力は無いので、要点だけまとめてみます。
この研究に組み込まれた人たちのジカ熱そのものの臨床症状は上で述べたものと大きく変わりませんが、浮腫が31%出ている点が少し違うようですね。ミクロネシアでの流行のデータを集計している時は気づかなかっただけかもしれません。
ジカ熱の症状のピークからギランバレー症候群発症までの期間は6日間程度(中央値で)ですね。
ギランバレー症候群の症状としては筋力低下86%、深部腱反射の消失が鈍化48%、顔面神経麻痺79%、嚥下困難45%、呼吸困難33%となっていました。顔面神経麻痺以降の児症状についてはこれまで知られていた出現頻度より15%ぐらい高い様です。ただ、人種によって出やすい症状に差があるため、そのまま日本人には適応できないと思われます。
免疫グロブリン大量療法や血漿交換による抗体吸着療法などを要する症例もあり、29%が呼吸器による補助を要したと報告されています。亡くなった方は居ないようです。
ジカ熱にかかった人のうちどのくらいがギランバレー症候群になるのかはまだ不明ですが、妊娠中でない人も(男も含めて)ジカ熱にはかからない方がいいですね。
治療法
ジカ熱には特異的な治療法はありません。治るのを待っているだけです。高熱も出ませんし、入院を要するような状況になることはまれです。
また蚊(ヒトスジシマカかネッタイシマカ)がいないと人には感染しませんので、よっぽど蚊だらけの住居に住んでいない限り感染阻止目的の入院も要らないでしょう。
予防法
ワクチンはありませんので、蚊に刺されないようにすることが重要です。
まず長袖長ズボンを着用するのが良いです。しかしブラジルに観光に行った日本人が長袖長ズボンを常時着用するのは現実的ではありません。
そこで、DEETを含んだ昆虫忌避剤を使いましょう。虫よけです。
DEETは含有量が多いほど長く聞きます。日本で最もDEETをたくさん含んだ虫よけは虫ペールαで12%です。
www.ikedamohando.co.jpこの場合一回塗ると2-3時間持ちます。逆に言うとそれだけしか持ちません。海外の薬局ではもっと長持ちするDEET含有量の多い製品が販売されています。
現在ブラジルでは昆虫忌避薬がバカ売れしているようなので、手に入るかどうか不明・・(たぶん大丈夫ですが)。かといってトランジットのドバイなどで買うと、機内持ち込みできない・・
なので、日本で虫ペールαをいっぱい買って持っていくというのが良いのではないでしょうか。決して私は池田模範堂の回し者ではありませんが。
流行地域
ジカ熱といいう病気は1950年頃から知られていましたが、流行範囲は限られており、もともとアフリカの一部と東南アジアではやっている病期でした。だいたいそれが2005年頃までの話です。ちなみに↓の地図、緑の円はチクングニア、赤い円がジカです。
2005年から2015年頃までは大洋州で流行しており、ヤップ島では「蔓延」と表現されるほどでした。そのころから合併症の報告もありましたが、大きくは取り上げられていませんでした。
2013年頃からはクック諸島などでも流行があ拡大していきました。赤い丸がジカ熱です。
2015年に入るとブラジルでジカ熱の流行が広がり、中南米全体に広がっています。
南米でジカ熱の心配が無いのは地理とウルグアイだけですね。
ちなみに、標高が2000mを超える場所(ボリビアの大部分やマチュピチュ遺跡、ウユニ塩湖。エクアドルの首都であるキトなど)は基本的に蚊がいないためリスクは低いと思われます。
まとめ
虫よけを日本から買って行って2時間おきに付け直しをしましょう。
ブラジルで風俗(^^;に行くのはやめましょう。
妊婦さんは今ブラジルにいかない方がいいでしょう。
渡航医学 活動性結核患者の飛行機搭乗
最近活動性結核症例の国際線搭乗について保健所の保健師さんとお話する機会がありました。しかし残念なことに機内における結核の伝播リスク、また保健担当の行政機関としてあまり正確な認識をお持ちでないようで驚きました。
Qantas FFP ついにクラスJはBusiness classではないと気づく…
さて、だいぶ間が空いてしまいましたが、2016年はQantas のFrequent Flyer Program (FFP)でGoldに到達したいと思っております。