世界進出する内科医

公私ともに世界に出ていきたい内科医のブログ。飛行機のレポートから渡航医学まで海外進出に関連のある話題をつづります。

化血研騒動対応 B型肝炎ワクチンの代替ワクチン

化血研が1月5日から5月6日までの110日間に及ぶ営業停止処分を受けました。渡航医学屋としては、ワクチンが安定供給できるのか、受診者から納得が得られるのかといった問題が出てきて困っております。というわけで、ワクチンに関する今回の騒動のまとめと、代替品について勉強していきたいと思います。

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まず、ワクチンでも製造工程の遵守違反があったのかという点に関して、営業停止前日に面会できた化血研の方から回答を得ました。これについては「No」です。

製造現場が持っている手順書には「白糖」と書いてあるが原本には「ショ糖」と書いてあるといった転記ミス程度の問題はあるものの、製造工程は遵守されていたということです。今後どのような事実が明らかになるかわかりませんが、これ以上は追及のしようが無いので信じることにしました。

 

次に、化血研が独占しているワクチンの販売は継続されるのかについて確認しました。これについては「Yes」だそうです。

営業停止になりましたが、独占しているワクチンについては販売の継続が許可され、逆に販売停止になっている商品が僅かしかないという状況のようです。細かくは以下のリンク先をご覧ください。

www.kaketsuken.or.jp

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この中で混乱が予想されるのはB型肝炎ワクチンです。これから新年度を迎えるにあたり学校職員や医療関係者のB型肝炎ワクチン接種者が増えることが予想されます。とりあえず国内に流通しているワクチンとしては「化血研のビームゲン」と「MSDのヘプタバックス」があります。どう違うか、どこが同じかまとめてみたいと思います。

 

①どっちでもいいのか??

まずビームゲンとヘプタバックスではワクチンを作るもとになっているウイルスの遺伝子型が違います。ビームゲンはC型で、ヘプタバックスはA型です。では同じ型のウイルスにしか効果がないのかというと、そんなことはありません。確かに遺伝子型によって生成されるHBs抗原はadw, adr, ayw, aydなどの種類(サブタイプ)が生まれます。しかしこのHBs抗原によって誘導されるHBs抗体(←ワクチンで誘導したい抗体)は、抗原のサブタイプによって微妙に違うものの相互に中和することは可能なようです。したがってビームゲンを打ってもA型のB型肝炎を防げるし、ヘプタバックスを打ってもC型の感染を防げます。

 

②途中で切り替えるのはどうか?

B型肝炎ワクチンは3回セットで接種するのが基本です。一般的には初回接種し、4週間後に2回目、約半年後に3回目に接種することになります。原則として3回接種するワクチンは同じ商品を使うのが良いと思われます。製薬会社も製品の有効性を検討する際には3回とも同じワクチンを使っています。1回目はビームゲン、2回目はヘプタバックス、3回目はやっぱりビームゲンという変わった接種方法は通常は好ましくありません。好ましくない芦有は「薬の効果が思い通りに発揮されるか検討されていない」からです。

しかし今は緊急事態です。ビームゲンは品薄です。というわけで、2回はビームゲンを接種したが、3回目はビームゲンが手に入らないという状況が発生するかもしれません。この場合どうするか…。

実はほとんど検討されていません。というか見つかりません。

ただ、ワクチンを途中で変えても抗体は「多分」つくでしょう。B型肝炎ワクチンを3回接種した後にHBs抗体をきちんと測定するという条件付きであれば許容されるかもしれません。ただ、B型肝炎ワクチンは2回目接種後にすでに抗体が陽性になっていることもあるため、3回目のワクチンが本当に「効いた」のかどうかはわかりません。

無いものはしょうがない!と開き直るしかない様です・・。

 

③添加物

実は二つのワクチンには添加物に差があります。ビームゲンにはチメロサールという添加物が入っていますが、ヘプタバックスには入っていません。

チメロサール有機水銀であり、水俣病の原因となったメチル水銀と構造は似ていますので、入っていないに越したことは無いわけです。しかし有機水銀の接種上限については各種の機関からまちまちの基準が出されており、どの程度どの物質を接種すると神経発達に対して影響を与えるのかはよくわかっていません。おそらく成人に対してワクチン接種において使用される程度のチメロサールであれば影響はないと思われますが、正直よくわからないわけです。ともかく最も影響を受けやすい胎児を守るために妊婦さんにはチメロサールを避けたほうが良いとは考えられます。

 

④キャップのゴム

ワクチンを入れているバイアルのキャップのゴムはビームゲンは合成ゴム、ヘプタバックスは天然ゴムです。したがって、ラテックスアレルギーのある方にはヘプタバックスは回避したほうがよいと言えるでしょう。

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よくわからない・・ことが多すぎるようです。

ヘプタバックスはあまり大きなシェアを持っていませんので、品薄は必至です。今後どうなるのか戦々恐々です。

 

 

渡航医学まとめ 営業停止処分でも出荷できるワクチン

近頃報道で目にする方も多い化血研。正確には「化学及血清療法研究所」。研究所という名前はついていますが、製薬会社です。

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時期は明確にされていませんが、110日間の営業停止処分が決定しているわけで、監督官庁である厚生労働省は事を重大に捉えている分かります。

化血研への業務停止命令、過去最長とする方針 厚労省:朝日新聞デジタル

この記事の中に「製造販売許可の取り消しも検討したが、血液製剤ワクチンが供給されなくなると、患者への影響が大きいため、許可取り消しに次いで重い業務停止とし、期間も最長とすることにしたという。」という一文があります。営業停止処分は決まったが、化血研しか作っていない製品があるので最も重い処分はできないということです。

血液製剤についてはたまに当直の時に使う程度で、私はあま

り詳しく知りません。しかしワクチン領域ではA型肝炎ワクチン、狂犬病ワクチンは化血研しか作っていないのです。

ということは、海外旅行でA型肝炎ワクチンを打たなければならない人は、輸入ワクチンを使える医療機関を探すか、運を天にまかせてワクチンなしで渡航するかのいずれかということになります。国内で承認された医薬品で予防できないという異常事態に陥ります。狂犬病も同じです。

さらにわるいことに、狂犬病ワクチンは予防のみならず「咬まれた後の発症予防」にも使用されます。狂犬病は発症すれば100%死亡する病気です。咬まれた後、命からがら帰国した患者さんに「ワクチンが無いので発症予防は無理です」というのでしょうか??幸い私の医療機関は輸入ワクチンが使えるので、曲がりなりにも発症予防は可能ですが、国産(=化血研の)ワクチンの様に保険診療にはなりません。

結局このワクチンについては化血研以外作っていないので、出荷停止にならないだろうと予測されるわけです。

海外のA型肝炎狂犬病ワクチンの臨床試験は日本でもすでに行われており、もう一歩というところまで来ているようです。一気に前倒しして承認!とはいかないでしょうか・・。困ったものです。

 

QF26 HND SYD Cクラス

暑い夏をやり過ごすには、標高の高いところに行くか、北に行くかの二択と思っていましたが、南を突き抜けて南半球まで行くという方法があることに気づいたので、夏休みはシドニーに行くことにしました。

 
とりあえずいつもの羽田国際線ターミナルに行きましたが、見慣れないカンガルー印がありました。就航したてです。

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ビジネスはシックなグレーでした。
しかしどちらもガラガラです。

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チェックインを行いますが、JALがカウンター業務を請け負っており、あまり目新しさがありません。さっさと制限エリアに入りました。
豪ドルは日本でも両替できるので、予め両替しておくことにしたした。
 
搭乗ゲートには高校生の大群がいます。今時の高校生はオーストラリアまで語学留学できるのですね。羨ましい限りを
 
そして搭乗します。機材はBoeing747-400ERというレアキャラです。ジャンボに乗ることもそうないと思うので、できればUpper deckにしたかったのですが、満席のためmain deckの最後方窓側といういけてない席になりました。
ウェルカムドリンクはオレンジジュースです。

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この椅子、今流行のstaggeredでもヘリボーンでもないのにシートペッチは2mです。
つまり、バカ正直に椅子を2mおきに設置したということです。恐ろしいほどのlegroomでした。

 

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翌朝の朝食のメニューを決めてほしいとのことで、適当にチェックを入れて起きましたが、何か間違っていたようで、翌朝苦労することになります……。
 
羽田のR/W05から離陸。重たい747が多分Max thrustで2500m滑走路から離陸するのは迫力がありました。
 
離陸して一時間後に夜食のオーダーをとりに来ます。遅すぎます。私はもう早く寝たいのでチーズをかじるだけでいいと言ったのですが、出てきたのはこれ。

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向こうも間違いに気づいてチーズを用意してくれましたが、目の前に並べると美味しそうだったので食べました。断らなくてよかったと思う美味でした。
 
離陸して2時間後に食器も回収されます。飛行時間8時間のうち1/4経過。早く寝かせてほしいというのが、本音です。
ラグビー選手のように屈強なCAがターンダウンしてくれました。寝たのはグアム上空。
 
あと一時間だよーと起こしてくれたのはケアンズよりも南に到達してからでした。隣のオージー男性はすでにコーヒーを飲んでいました。

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スクランブルドエッグとトーストを頼んでいたのですが、ここでは卵料理の下敷きにトーストというのが一般的なのでしょうか。トーストが合計4枚もあります。多すぎです。
満腹になるまでトーストを食べました。ちなみに付け合せの豆は日本人の口にはあまり合いません。イギリス風です。さらにコーヒーはそこにコーヒーの粉がとごってました。ビジネスクラスのコーヒーとは思えない出来栄えです。やはりCXと食事を比較してはいけません。
 
747のビジネスクラスは男の浪漫。このような写真が取れることに感激します。

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鉱山の露天堀り。

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予定より10分ほど早めにKings Ford Smith空港に着陸。
 
着陸後に座席を撮影しましたが、やはり一昔前のビジネスクラスという印象は拭えません。


 

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客室乗務員や地上係員はフレンドリーで○なんですけどね。
 
空港に着くとquarantineが日本とは比べ物にならないぐらい充実していました。
普通の旅行者にとってはうっとおしいこと限りなしでしょうが、業界人としては感激者です。

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眠いので、入国後はいったんホテルに向かいます。
そしてCentral stationで目に飛び込んできたのはこんな看板です。

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抗菌薬を風邪やインフルエンザに使って無駄にするなという、抗菌薬適正使用の看板です。いやー日本では考えられない。

そして若干いかがわしいこの駅の直上のホテルにチェックイン。少しだけ昼寝してシドニー観光に向かいました。

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渡航医学 ラクダに触るとMERSの危険がある?

韓国でMERSのアウトブレイクが終わってから国内での「MERS熱」は落ち着いてきましたが、相変わらずMERSを発症するかもしれないという理由で健康観察を受ける人がいます。

どういう人が該当するかというと、ラクダに乗ったり、ラクダ肉を食べたりした人たちです。検疫所ではこのような行為はMERSに感染する可能性があるので控えるように指導しています。

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ラクダが可愛すぎる気もしますが、このポスターには厄介なことが書いてあります。

①ラクダを触ったり食べたりするとMERSになりかねない

②ラクダと接触した場合は14日間検疫所から毎日健康状態を聴取される

ということです。

 

韓国が国民に生のラクダ肉を食べないように指導したり、WHOが韓国にラクダの尿を飲まないように指導したりと、笑いごとでないのに笑ってしまいような事態になっています。しかしそもそもMERSはラクダに触れただけで感染するのでしょうか?

 

まず、ラクダと人で全く同じ遺伝子配列を持ったMERSウイルスが検出されたという報告があり、これがラクダ→人感染説の有力な証拠になっています。どういう症例かというと以下の様なものです。

ヒトコブラクダを9匹飼っていた44歳の健康な男性が、体調の悪いラクダの鼻水をかけられた後、呼吸器症状を呈し、15日後にMERSで死亡しました。経過中に男性の鼻からとったMERSウイルスを培養したものと、ヒトコブラクダの鼻からとって培養したウイルスは完全に遺伝子配列が一致していたということでした。さらに、この男性が飼っていたヒトコブラクダのうち、4匹はすでにMERSに対する抗体を十分に持っていた一方、調子が悪かったラクダは当初抗体が低かったが後に上昇したということが分かっています。調子が悪くなって抗体価が上がるという現象は、その病気にかかったということを証明することによく使われる手法で、つまり体調のわるかったラクダは、男性に鼻水をかけた時、初めてのMERSウイルス感染のさなかにあったということになります。

その結果、ラクダはMERSウイルスを鼻に保菌している可能性があり、濃密な感染ラクダとの接触は人へのMERS感染の原因になりうるということを示しています。

 

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ところで、旅行会社はこの事実をどのように考えているのでしょうか?

例えば↓のツアーをサンプルとして掲載しました。「ラクダに乗れるのが売り」になっちゃってます。このツアーに参加した結果14日間の検疫所による健康監視がつくかもしれませんね。旅行会社にクレームはいかないのでしょうか??

 

一方でこちら↓の会社はラクダ乗りは推奨いたしませんとはっきり書いてあります。

www.hotholiday.jp

 

このように旅行会社によって温度差があります。

旅行先の危険情報を商品購入者に事前に通知する義務は旅行会社にはないのでしょうか??

 

実はあります。その根拠は旅行業法第十条に旅行会社が行わなければならない項目として「取引条件の説明」というのがあります。この「取引条件」の中に「 旅行の目的地を勘案して、旅行者が取得することが望ましい安全及び衛生に関する情報がある場合にあっては、その旨及び当該情報 」というのが入っております。というわけで、ラクダへの接触という行為は、国が感染症の危険があるのでやめた方がよいといっているという情報は旅行会社から顧客に説明すべきであろうと考えられるというわけです。

上で紹介した旅行会社の一つ目も本社は東京にありますので、日本の旅行業法の適応を受けるはず。やはり説明が無いのは問題でしょう。

 

ただし、「ラクダの鼻水をかぶるようなことはないから濃厚接触でない」という屁理屈をこねられるとどうしようもないのでしょうが・・。

CX502 HKG KIX Cクラス

Ho chi Minhの用事も終わり、その後SGNからHKGまで移動しましたが、あろうことかSGNの滑走路補修のため出発が1時間以上delayしてしまいました。HKGでの乗り継ぎは2時間ありませんので、きわめて厳しい乗り継ぎが予想されます。

飛行中にIFEのモニターに表示される乗り継ぎ案内ではCX502は表示されていますので接続はとるのでしょうが、走らないと間に合わなさそうです。

 

スポットに入ると同時に「乗り継ぎ時間が厳しい方は、地上係員にコンタクトを取ってください」と放送が入ります。かなり急いでPBBをわたりきると、すでに Osaka/Kansaiと書いた紙を持った地上職員が私の名前を呼んでいました。返事して乗り継げるか聞くと「今のところ接続する。アテンドするから一緒に来てほしい。他にも大阪行きの乗客がいるので揃うまで待ってほしい」とのことでした。

が、そのもう一人はかなり後方キャビンだったようで、なかなか合流できず、さらにアテンドするといわれているのに勝手に動くので、余計時間がかかってしまいます。キャセイを信じていれば間違いないのに・・。

 

結局職員用のエレベータやSecurity checkを抜けて、KIX行きに滑り込んだのは出発時刻ちょうどでした。乗ると同時に待ってましたとばかりにドアクローズとなりました。携帯電話の電源は香港では入れずじまいでした。

 

乗り込んだのは旧Regional仕様のビジネスクラスで、絶滅危惧種でした。座席は「大きな椅子」以上の何物でもない感じで、国鉄時代の特急列車のグリーン車を思い出しました。

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チーフパーサーはものすごく聞き取りにくい英語を話す香港人でした。広東語なまりがきつくて、私の英語力では聞き取れません。疲れるビジネスクラスになりそうです。

まずはミネラルウォーターをもらい、一息つきますが、滑走路がなぜが空いていて、呼吸を整える間もなく離陸になります。汗だくです。これから上空に上がればいやというほど湿度の低い空気にされされますので良しとしましょう。

スナックと赤ワインをもらいつつしばし待っていると夕食です。Hong KongのRitz-Curltonと提携しているイタリアンがおすすめとのことなので、チョイスしてみました。盛り付けはともかくとして、牛肉のたたきが絶品です。

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その後メインはチキンをチョイスしましたが、これは「鳥の角煮」のような味わいで、からしをつけると美味でした。

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食べかけのパンに、食べ散らかしたお皿まで映り込んで申し訳ありません。サラダや和そばの皿は下げてもらえると思っていたらそのまま置いて行かれたので、写真に写ってしまいました。

そしてフルーツはいらないがチーズをくださいとリクエストして・・(でもいろどりにフルーツは一応つけてくれる)

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プラリネ、ハーゲンダッツと進んでお食事は終了です。

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骨董品のような座席でしたので、IFEは期待していませんでしたが、やはりモニターは解像度が低く、画面も小さく残念な感じでした。かつては画期的だったのだと思いますが、技術の進歩は残酷なものです。

そして、このIFEを出していると足が組みにくいという欠点もあるため、早々に片づけました。

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ちなみに、日本語メニューがあるように見えますが、これを押しても「日本語はご使用になれません」的なメッセージが出るだけで、期待させるだけ罪な状態です。

 

一方で、このコントローラーは割と手になじむという印象です。やはり私がスマホよりガラケー世代ということもあるのでしょうか。

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この形の電話を見ると妙な安心感があります。ボタンの質感とか・・。

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そうこうしているうちに飛行機は沖縄に差し掛かります。早いものです。あと1時間半で旅行も終わりです。

旧RegeionalのCの雰囲気を記録にとどめるべく写真撮影にいそしみます。

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定刻通り午後9時にKIXに着陸です。R/W 24Lへのアプローチでしたので、大阪湾上を時計回りに半周します。左側の座席だったので、夜景が美しかったです。いわゆる大阪湾遊覧飛行つきでした。

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Qantas FFP Silver到達のご報告

前回QantasのFrequent Flyer Program (FFP)はOne worldのステータスを狙うにはいいプログラムだと書きました。しかしその後Turkish airlines の Status matchに成功し、放置状態になっていました。

shirokumaotoko.hatenablog.com

しかしQFに乗る機会がありまして、結局Qantas FFP の Silverに到達いたしました。搭乗した便は以下の通りです。

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①JL FUK→ITM full-fare economy

②QF HND→SYD Discount business

③QF SYD→BNE Discount business

④QF BNE→NRT Discount business

⑤GK NRT→KIX Starter Max

 

実際のところ、①のJALはあってもなくても大勢に影響はなかったのですが、Q pointが加算されるかどうかをチェックする目的で積算しました。いわばジャブです。1週間以内に加算されましたので、Qantas FFPは信用のおけるProgramだと判断したわけです。

 

全部のフライトを終えてログインすると、以下のような画面が出てきます。

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4 segment ルールが非常に明確に書かれています。下の紙飛行機の絵です。Qantasに登場すると白い紙飛行機が赤に変わっていきます。

また、入会した日から1年間のうちにStatus Credit (SC)を何ポイントかせいだかでStatusが決まるのですが、1年のどの程度が経過したかが黒い円で、かせいだSCの量が赤い円であらわされているわけです。

上の画像ではSilverをkeepするために必要な条件で円が描かれているので、すでに円が一回転しているわけです。

 

この4 segmentルールにはQnatasやJetstarの本体会社のみならず、Jetstar asiaや Jetstar Japanも含まれると思われていたのですが、やはりカウントされることが確認されました。

 

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というわけで、以下のようなことをすれば、日本国内線だけでQantasのGoldになれるようです。

①Jetstar JapanのKIX→NRTに4回 Starter Maxで乗る+JALのITM→HNDを国内線ファーストで16回搭乗する

②Jetstar JapanのKIX→NRTに4回Starter Plusでのる+JALにITM→HNDをクラスJで33回搭乗する

というわけで、これぐらいなら平気でこなす人はたくさんいると思います。ただ、②を実践してもJAL Mileage Bankだと3万FOPを少し超える程度ですから、やはりQantasは敷居が低いということになりそうです。

渡航医学まとめ 髄膜炎菌ワクチン

(最初に)

侵襲性髄膜炎菌感染症(Invasive meningococcal disease: IMD)といえば、渡航医学の観点からは寄宿舎とイスラム教大巡礼であるHajjを思い浮かべるものです。その理由としては、まず髄膜炎菌の感染症飛沫感染して、狭い場所に大勢の人が押し込められる環境でアウトブレイクするからです

インフルエンザと異なるのは、発症した時の重篤さでしょう。髄膜炎菌感染症は通常、髄膜炎+敗血症+循環不全による手足や耳鼻などの壊死を伴います。そして死亡率は、治療をしなければ100%です。ただし日本では抗菌薬や集中治療室での治療を徹底的に行いますので、死亡率はうんと低いはずです。

IDWR: 感染症の話 髄膜炎菌性髄膜炎

 

日本での発生例は散発的におきますが、そのほとんどが高校や大学の寮で起きています。最近では2011年に宮崎県の高校の野球部寮で5人がIMDを発症し、1名が亡くなる事例が起きています。

IASR 32-10 髄膜炎菌感染症, 集団発生, 髄膜炎, 敗血症, B群髄膜炎菌, Neisseria meningitis, PFGE解析, MLST法, ST-687株

 

私自身も2例経験がありますが、キャンプに行ったあとだったり、仲良し〇人組だったり、濃厚接触の後だった記憶があります。

 

さらに、今年に入って、ボーイスカウトの世界大会が山口県で行われ、Scotlandからの参加者が帰国後IMDを発症したという事例が新聞で報道されました。もともとUKでは髄膜炎菌ワクチンを定期接種していますが、原因菌の血清型(serotype)が接種していたものと違ったため感染してしまったようです。その後Swedenからの参加者についても感染が確認されました。

スコットランド人ら髄膜炎菌感染症に 山口から帰国後:朝日新聞デジタル

日本のボーイスカウト大会で感染か、欧州参加者4人に髄膜炎菌 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 

このように、一定の割合で髄膜炎菌感染症は起きるので、欧米の高校や大学は学生寮を使用させるにあたって、髄膜炎菌ワクチンの接種を要求してくることが多いです。下はHarvard summer schoolに参加する際のワクチン接種履歴のformですが、下の赤枠でかこった部分で要求されています。(waiverを書けば免除みたいですが・・)

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 (疫学)

世界中どこにでもIMDは存在しますが、特にIMDの多発する地域はサハラ砂漠の南側にあり帯状の地域で、一般的に髄膜炎菌ベルトと呼ばれています。

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この領域はマラリアもあれば腸チフスもあればデング熱もあるという、渡航医学関係者泣かせの地域です。西の端には昨年からEbora virus disease(EVD)がアウトブレイクしたGuineaの含まれています。そしてこの地域には多数のイスラム教徒が住んでいます。かれれは一生に一度はメッカに巡礼することを考えていますので、大巡礼であるHajjの時期になると、大勢がSaudi arabiaのMeccaにやってきます。その中の一部の人の鼻腔には髄膜炎菌が定着していることでしょう…。

一方、これらの国々の上、西アフリカは比較的フランと経済的なつながりが強く(旧宗主国ですので)、東側の国々はイギリスと結びつきが強いと考えられます。髄膜炎菌ベルトの国々のエリートたちはヨーロッパに留学することが多いわけです。その結果、ヨーロッパの高校や大学の学生寮に髄膜炎菌が持ち込まれ、アウトブレイクすることも十分あり得るわけです。

 

Serotypeも地域によって多少異なっています。欧米ではBとCが多いとされており、アフリカ大陸ではA,C,W-135,Yの4種類が多いとされます。またアメリカ大陸ではB,C,Yが多いとされています。

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(血清型とワクチン)

そのため、欧州ではCだけをカバーする髄膜炎菌ワクチン(MenC)がひろく接種されてきました。イギリスではMenCが定期接種になっていました。しかし最近はCが減り、YやW-135なども増えてきているため、近々A,C,W-135,Yの4種類をカバーできるワクチンに切り替わる予定です。なお、上述の山口県で起きたBoy Scoutのアウトブレイク事例ではW-135が検出されていますので、イギリスの判断は正しい(けれどちょっと遅きに失した)ということになります。

 

Bが多くなってきている米国ではB型に対するワクチンが使用され始めました。Bに対するワクチンは開発が難しかったため、最近やっと米国でも承認されたばかりという状況です。

 

そして、ワクチン後進国日本においては、今年5月まで髄膜炎菌ワクチンはありませんでしたので、輸入ワクチンを必要な人に接種していました。しかし5月に国産ワクチンが発売され、イギリスが定期接種にしようとしているワクチン(MCV4)を使用できるようになりました。しかし価格が1接種2万5千円程度とバカ高いため、普及には時間がかかりそうです。

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ちなみに、「MCV」というワクチンは免疫の付きが非常に良いですが、その1世代前のワクチンである「MPSV」というワクチンもあります。日本では承認されていないので、今更わざわざ輸入してまで「MPSV」を接種する人もいないでしょうが、気を付けてください。留学の時、MPSVお断りの学校もすでに存在します。

 

(HajjやUmrahと髄膜炎菌ワクチン)

Hajjは大巡礼で、日程が決まっています。2015年は9月21日から26日の間です。Umrahは基本的に自分の都合のいい時にMeccaに巡礼することを指します。当然日本の神社が正月に混雑するのと同じでHajjの時期はKaaba神殿もぎゅうぎゅうになるわけです。そのため、サウジアラビア政府はHajjやUmrahに参加するために入国する際は入国する10日前、かつ、3年以内に4価(ACYW135)の髄膜炎菌性髄膜炎のワクチン接種を受けたことを証明する証明書を求めるようです。証明書が無ければ入国拒否になると思われます。

とはいえ、通常の日本人が観光でサウジアラビアに入国することは不可能ですし、Muslimの方はこれぐらいは知っていると思いますので、構わないんですけれど・・。