世界進出する内科医

公私ともに世界に出ていきたい内科医のブログ。飛行機のレポートから渡航医学まで海外進出に関連のある話題をつづります。

渡航医学まとめ 肺炎球菌ワクチンについて

肺炎球菌ワクチンが渡航医学かといわれると、そうではないという人も多いですが、日本人が好き好んでいく欧米の国が相手ともなると、立派な渡航医学です。

日本には昔からニューモバックスというワクチンがありまして、昨年10月からは年齢が65歳以上の5の倍数に達すると市町村から安く接種してもらえるはがきが届きます。いわゆる定期接種です。

定期接種できる大人のワクチンには、ニューモバックス以外にインフルエンザワクチンもあります。これは年齢が5の倍数でなくても65歳以上なら全員安く打ってもらえます。

 

ここで、肺炎球菌の説明を簡単にすると以下のようになります。

・肺炎球菌は子供と65歳以上の人がよくかかる病原菌で、多くは肺炎を起こし、場合によっては敗血症(血液中に菌が回って全身が炎症を起こして最悪死亡する)状態になります。

・65歳以上の肺炎のうち、この菌が関与するのはおよそ3割であり、ほかの原因菌よりダントツに多いとされています。

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・一方で、肺炎による死亡者数は現在日本の死亡原因の3位に上昇しており、これは癌につづくものです。しかも最近は急上昇中です。

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・肺炎球菌は細かく分けると100種類ぐらいの種類(血清型)があ、一つの菌にかかったとしても、ほかの血清型の菌に対する抵抗力は体の中にはできません。

 

これぐらいの基礎知識を頭に入れておいていただいたうえで、ニューモバックスとプレベナーの違いを説明します。

 

ニューモバックスは100種類ぐらいある肺炎球菌のなかの23種類をカバーしており、およそ肺炎球菌全体の80%近くをカバーしています。カバー範囲は広いワクチンです。ワクチンが広く使用されるようになると、ワクチンに含まれていない血清型の菌が増えてきますので、そのカバー率は少しずつ下がってきていますが、(serotype replacement)ですが、まだまだ高いです。

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しかし、ニューモバックスは比較的抗体を獲得させる力が弱いワクチンです。また、23種類の血清型の重症感染症は減らしますが、ワクチンに含まれる血清型の菌による肺炎そのものを減らす効果は認められていません(肺気腫や老人ホーム入所者、75歳以上の特に年齢の高い人たちの間では肺炎減少効果もあります。)。

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ちなみに、日本で上で述べたような定期接種に指定されているのはこのニューモバックスだけです。

ニューモバックスは1回接種すると次の接種までの間5年間は開けなければなりません。また、2回目は1回目よりも、効果が劣るという報告があったり、2回目は接種部位の発赤や痛み、発熱や全身のだるさなどの頻度が高いという報告もあります。

去年日本初の論文で「2回目の接種は1回目と同じくらいの効果があり、2回目接種に伴う副反応は許容範囲だ」そいう論文が出ましたが、まだまだこれまでの考え方を打ち破るインパクトのある論文とは言えません。

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興味のある方は次のエントリーをご覧ください。

 

一方で、プレベナーは100種類ある血清型のうち13種類しかカバーしていないので、肺炎球菌全体におけるカバー率は60%台半ばです。しかしプレベナーは2系統ある人間の免疫機構のうち、両方の系統を活性化することができるため、抗体のつきが良いという特徴があります。また、1回接種したあと、2回目接種すると初回接種よりも抗体がジャンプアップする(ブースター効果)があります。これは1回目プレベナーで、2回目ニューモバックスの順番であっても同じです。さらに、プレベナーについてはオランダで6万人規模の臨床研究が行われ、ワクチンに含まれる血清型であれば、肺炎も含めた全肺炎球菌感染症を65歳以上の人たちの中で防ぐことができたと結論付けられる論文が今年出ています。

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この結果をうけてアメリカの予防接種諮問委員会(ACIP)はニューモバックスとプレベナーの良いところを取り入れるべく、両方のワクチンを1回ずつ接種することを推奨すると発表しました。これが昨年9月のことでした。

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しかし、日本初の研究が出たことで、日本の呼吸器学会と感染症学会は、「ニューモバックスを5年以上開けて2回打つ」という方法を、同列に推奨すると発表しました。また、オランダで6万人規模の臨床研究を行った点についても、「日本人じゃないから」という理由で日本にはそのままあてはめられないと言い切っております。

 

というわけで、日本においてはまだまだニューモバックスを2回打つというprocedureがバンバン行われるようです。実際のところ、プレベナーとニューモバックスを組み合わせるのが正しいというデータはありませんし、ニューモバックス2回がプレベナーを入れた接種方法より劣っているという証拠もありません。

 

ただし、現在日本においては定期接種として安く接種できるのはニューモバックスのみであり、国際的に価値のみとめられたプレベナーが選択できません。せめて「欧米流」と「日本流」を選択できるような制度になるよう厚労省や出入りする専門家の先生方には検討していただきたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LH1186 FRA ZRH Yクラス

ヨーロッパに行くこともそうそう無い身分なのですが、たまに行くと嬉しくなっていろいろな航空会社を試したくなります。本来はAir Berlinに乗りたかったのですが、予定変更でフランクフルトに一泊する必要があったため、HND-FRA...ZRH-NRTという往復航空券にFRA-ZRHを別切りのFull fare航空券で買うことにしました。


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朝8時にフランクフルト中央駅に到着しました。Siegenに行く地域間快速に乗り込みました。ドイツらしからぬディーゼルカーでした。


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行きはここからICEでaachenに向かったので、Frankrt flughafen駅には地上駅しかないと思っていたのですが、地域間列車用の地下ホームがありました。どこに連れてこられたのかと思いました。


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バゲッジドロップはセルフサービスです。iPhoneで2次元バーコードを機会に読み取らせると荷物タグが出てきて、自分で貼り付けます。しかし私の荷物についたタグはIADと書いてあるのに気が付きました。
どうやら私の一つ前に並んでいたアメリカ人のおじさんが操作の途中で係員窓口に移動したのですが、その人のタグだったようです。
ドロップしてしまったら一大事です。
私の下着までアメリカのおじさんの元に届くところでした。


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その後、延々と歩かされ、やっと搭乗口に来た時にはすでに搭乗開始時刻でした。
機材はBoeing737-300 D-ABEKということで、20年ものの飛行機です。上級会員の優先搭乗が始まり、ざっと50人は乗り込みますが、列が進みません。改札から人が溢れている状態のまま一般客も搭乗開始となり混乱します。どうやらドア際でチョコバーを配っているのとビジネスクラスのサービスが邪魔なようです。

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これだけドアとPBBの間で長い時間待たされたので、機体に付いたキスマークや与圧隔壁の断面図などが撮影できました。

このキスマークは誰がつけたのでしょう??

機内は満席ですが、何故か私の隣だけは空席でした。ラッキーなこともあります。


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チョコバーは口の中の水分を根こそぎ奪ってしまったので、ドリンクサービスでは水をもらいました。さすがヨーロッパなだけあって、ナプキンを受け取らないと怒られます。早く取りなさいよ!とばかりに手に押し付けられました。ドイツ人にやられると、なおさら怖いです。

窓側は若いドイツのビジネスマンでした。コップ回収の時には出しそびれていたので、私が代わりにクルーに渡しときました。君はそんなことする必要はないとか言い出すかと思いましたが、恐縮してました。気の弱いドイツ人です。


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あっという間にチューリッヒに着陸。多分私が乗った中で巡航高度が最も低いフライトだったと思います。多分15000フィートくらいです。

スイスはシェンゲン協定には入りますが、通貨がユーロではありません。水一本買うのも自販機でカードが使えるので助かりますが、日本人としては大げさな気がしますね。







語学の勉強 BerlitzとGABA

実際のところ、ヨーロッパに一人で行って帰ってくることや、ベトナムでも迷子にならない程度の英語はできるのですが、やはり「まとも」に喋れているかどうかは極めて怪しいというのが私の英語力です。

受験英語は比較的良く出来ましたが、昭和初期の文学作品で日本語を勉強したという外国人のようなものだと思います。口語で出てきたら腰を抜かすような表現が満載でしょう。


ということで、さしあたり学会などで海外進出の一歩を踏み出すにも語学力が必要です。大阪にあるBerlitzとGABAを偵察に行きました。

Berlitz

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祝日の昼ということで、受付の人がおられず、ちょっとのぞき込んでも人の気配がなかったので、パンフレットをもらってきました。私にとってのPros&consをまとめました。

Pros
マンツーマンと少人数グループが選べる。
ネットを使ったバーチャルクラスルームがある
平日朝七時から夜九時台までにレッスン枠がある
海外にも多数の教室があり、短期の留学制度が用意されている。
受験英語で辟易した文法をあまりネチネチやらないと書いてある

cons
予約変更が前日の三時まで、さらに営業時間外は受け付けてくれない模様
ビジネスに強いことを全面に打ち出しているけれど、自然化学系のバックグラウンドを持った先生がいるか不明

値段はマンツーマンなら7000円/回位。少人数のコースなら半額くらいでしょうか。

【GABA】

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カウンセラー?の方から説明してくださいました。

Pros
予約がポータルサイトから出来、当日の予約変更も対応。
講師の属性を見て選べる。自然化学系のバックグラウンドを持った先生もいることが確認できました。
講義ノートは生徒も先生も見られる状態で整備されるので、他の教室に行くことも可能で、出張先の空き時間に東京で受講することも可能。
Berlitz同様早朝から夜9時台までにレッスン枠があるあります。

Cons
ネットでの授業がない。
クレジットカード不可
世界展開はしていないので短期留学などの制度はない
マンツーマンのみで、少人数クラスはない

値段はBerlitzとあまり変わりませんね。高いです。

といったところです。
とりあえず5/9にGABAの体験講座に行って見る予定です。
人間に出会えなかったBerlitzも近日再訪予定です。


渡航医学まとめ A型肝炎

このブログは出来立てですので、おそらくほとんど読者はいないのですが、今後世界進出を目論む紳士淑女が集まりだせば、海外での感染症だって気にせねばなりません。というわけで、私の興味のある渡航医学のまとめも時々やっていきたいと思います。


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まずは渡航者の中で最もポピュラーなA型肝炎のまとめです。このまとめのネタはアメリカの疾病対策センターCDCですので、ある程度の信頼性はある内容です。
 
【疾患のイメージ】
まず食べ物で体内にA型肝炎ウイルスが侵入します。そして14-42日の潜伏期間を経て発病します。40度近い高熱と、身の置きどころのない倦怠感、そして全身の黄疸が特徴です。とても観光どころではありません。ウンウン言いながら耐えるしかありません。ひと月もすればほとんどは回復しますが、旅行になりませんし、帰国してからも長期に戦線離脱を余儀なくされます。会社員なら周囲の非難は不可避です。でも実はワクチン一本で防げます。
打っておけばよかったと後悔しても後の祭りです。幸い死亡率は非常に低いのが救いです。
 
【感染経路】
直接人から人への接触を介して、汚染された水、氷、または下水汚染水の混じった食べ物から感染します。通常は生の果物、野菜などが危ないということになります。開発途上国ではレストランの表は綺麗でも、キッチンが無く、裏口で川の水や浅い井戸水で食器を洗っている店は多いです。
川の水が汚染される理由は、感染者の便に大量のウイルスが含まれていることによります。特に小児は症状もなく、便中に半年もウイルスを排出し続けます。下水道が不備な途上国では防ぎきれません。
 
【流行地域】
ズバリ、開発途上国です。日本は世界的に見て先進国で衛生過剰な国ですから、それと同等レベルの衛生観念のある国以外はどこでも危ないと思ったほうが良いです。今や開発途上国扱いされない台湾や韓国でも、接種が推奨されます。
 
【予防手段】
A型肝炎を予防するのは簡単で、ワクチンを打つことです。海外渡航においては最も一般的なワクチンです。日本には日本独自のA型肝炎ワクチンがありますが、6ヶ月に渡り3回接種しないと効果が十分に得られません。普通は渡航に間に合いません。海外のワクチンは一回打てば3週間で効いてきて2-3年持ちます。国内でも海外のワクチンを個人輸入して接種している病院がたくさんあります。よほど出発までに余裕がある方以外は輸入ワクチンという手段があります。打ってくれる病院のリストはここの、トラベルクリニック一覧を参照ください。
ちなみにA型肝炎ワクチンは不活化ワクチンなので、ステロイド免疫抑制剤を飲んでいても打てます。
 
また、12ヶ月未満の子供やワクチンが打てない患者の場合、A型肝炎免疫グロブリン(ワクチンにあらず)を、打つとされていますが、日本にはありません。
 
【治療】
99%までが安静で治ります。ただ、治るまでひと月近く掛かりますし、その間の怠さや発熱はとても辛いそうです。ごくまれに肝炎が重篤になり劇症肝炎になることもありますが、本当にまれです。なってしまったら大きな病院の集中治療室に入るほどになりかねません。
 
専門家から行くと情報不足ですが、ザックリまとめるとこんな感じです。ちなみに、日本人の海外旅行前ワクチンの関心の低さは、欧米人から見ると命知らずレベルだそうです。世界進出には渡航前ワクチンは必須アイテムですね。
 
【やや難しい話】(2015/05/04加筆)
実は2003年に感染症研究所が行った試験では、60歳以上の成人は60%以上の交代保有率ですが、40歳代までに急激に下がり、40歳以下ではほぼ0%です。この試験から12年立っているので、皆一年に一歳歳をとったとすれば、72歳以上の人は60%の確率で抗体があると読み替えられことになります。
 
というわけで、この世代の方は抗体検査をして陽性ならワクチンを打たないという選択肢もあります。ただ、抗体検査をして。陰性だから接種という流れになると時間も費用も一番かかります。抗体があるからワクチンの副反応が強くなるわけではありません。あっさり打ったほうが良いような気もします。
 
それから、日本はA型肝炎が少ない国ですが、2010年には比較的多数の国内感染例が報告されました。
普通に考えると輸入例から二次感染した症例が多いのでしょうが、輸入例が特に多くないのに国内感染が増えるからには毎年と違うことが起きたかもしれません。ヒントとしては、肛門性行をする同性愛者の間でアウトブレイクするという報告もスペインから出されています。http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19175
 
また症状の出ない幼児が保育所などで他の子供に感染させ、そこから成人に二次感染するというリスクも指摘されています。http://archinte.jamanetwork.com/Mobile/article.aspx?articleid=226193
 
国内にいてもA型肝炎の感染が無いわけではありません。海外進出を期に、いや、日本国内から出る気がなくてもA型肝炎ワクチンはやはり打っておくべきと言えそうです。
 
輸入A型肝炎ワクチンの特徴ですが、初回接種後3週間経てば感染防御できるレベルの抗体価が着くというのは本当に素晴らしい効果です。渡航前に慌ててワクチンを打つ来る旅行者(もちろん打って差し上げる我々医者としても)には天の助けです。その効果ですが、簡単に図ろうと思えば血液中の抗体価を測ります。輸入A型肝炎ワクチンの接種後15日に行うと80-90%台後半の抗体陽転率が得られ、ひと月後には96%になります。不活化ワクチンとしては効果の高いワクチンといえます。輸入A型肝炎ワクチンは半年から一年後に再接種することが推奨されており、2回目を初回の6ヶ月後に打つと、その後抗体は100%陽性になります。2回目をうっておくと、合計20年位抗体は残るので、余裕を持って10年後位に再接種するのが良さそうです。一回打って放置すると2-3年で抗体価が下がってくるので、2回目を打たないと損ということになります。なお、輸入ワクチンはHAVRIXやVaqtaといった銘柄がありますが、interchangableです。
 
国内のワクチンは半年かけて3回打つという悠長なスケジュールですが、効果は良く、2回目接種を済ませばその後は100%抗体が陽転します。2回接種して放置しても5年後に95%で抗体が残っています。なお、3回目をきちんと打てば5年経っても100%抗体が残ってます。なかなか素晴らしい効果ですが品薄で打てないことも多いですので、製薬会社には頑張ってほしいものです。
 
ワクチンには有効性という概念があります。抗体はあくまで血液中のタンパク質を見ているだけで、抗体が高いから病気にならないと言うことは、実は厳密には言えません。有効性は実際に病気を阻止した割合を調べた数値です。まず輸入A型肝炎ワクチンについて述べると2つの報告があります。タイで行われた小児を含むスタディでは94%と報告されており、
別の小児を対象としたスタディでは100%と報告されています。
いい値です。なお、ワクチンを打っても発症する人がいるのは仕方ないことです。ワクチンに反応しにくい体質の人もいますし、抗体で中和しきれないほどウイルスに暴露されたかもしれません。
日本のA型肝炎ワクチンの有効性は、残念ながらあまりデータが無いですが、抗体価が上で述べたように素晴らしい成績ですので、同じくらいの効果が出るのではないかと思われますが、あくまでも想像の域を出ません。
 
 

CX765 HKG SGN Cクラス

さて、引き続いてホーチミン行きの飛行機に乗り換えます。香港でのセキュリティチェックはあまり感じの良いものではなく、大声出して客を威嚇する係員やら散乱したカートやら、若干カオス的な印象でした。

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The Pierですかね?実はラウンジには興味が無かったので適当に入ってコーヒーを飲みながら会議の仕込みをしておりました。というわけでラウンジのレポートはありません。


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さて、本日の2本目CX765便に登場しました。900マイル余りの短距離便ですが定員が少ないからか長距離国際線用の機材が投入されています。ビジネスクラスはまさにガラガラでした。shipはB-KPE,Boeing777-300ERです。
 


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CXではこういうヘリボーン配列のことをフィッシュボーンと呼ぶのでしょうか?シラス?よくわかりません。
とりあえず大変空間が広く取られています。カクテルテーブルも十分なサイズですし、ヘッドホンの格納庫も小物入れとして非常に使いやすいです。
 
通路に挟まれた中2列はこんな配置です。知らない人同士が横に並ぶと足の方が接近する配置です。一人で旅行するなら断然窓側ですね。
 

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この座席の数少ない欠点として、ベルトサインが着くとモニターを規定の位置に戻さないといけない事です。実はモニターにはコックピットからの映像が中継されているのですが、一番見ていて楽しい離着陸時はモニターは使えません。これは残念です。
ただ、画面はクリアですし、ノイズキャンセリングヘッドホンも装備ですから、インフライトエンターテインメントとしては良く出来ています。

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コントローラーです。ご搭乗前の予行演習にお使い頂ければ幸いです。

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離陸前のウェルカムドリンクです。シャンパンを我慢してオレンジジュースにしていますが、完全なフレッシュジュースで美味しいです。

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この便の食事はいわゆる”フル"コースでは無いようです。スターターがありませんでした。ただ、サラダがシーフードで凝った作りになっております。メインはパスタです。HKのリッツ・カールトンと提携したメニューらしいのですが、脂っこく少しげんなり。

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マグカップでカフェオレを頂きます。その後烏龍茶を頼みましたが、葉っぱから入れてくれて他のでしょうか?いい香りです。

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エアショーを見ているとあっという間にインドシナ半島に接近してきています。インディアナポリス1945の表示が。インディアナポリスは日本の回天特別攻撃隊の雷撃で沈んだ米海軍の巡洋艦です。エアショーにはよく表示されるポイントです。平和な時代に上空を通過できることに感謝です。

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やはり長距離用機材のエンジンは大きいですね。確かGE90-115Bという、世界一の推力が出るエンジンのはずです。ハイパワー好き私としてはたまらない代物です。

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夕暮れのTân Sơn Nhất国際空港に到着しました。PBBに降り立つと南国の空気が立ち込めています。ベトナムお久しぶりです。

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バイク大国ベトナムをタクシーで走ります。よく見ると3人乗りです。ベトナムでも危険なので三人乗りは推奨されないということです。しかしこうやって撮影者も気づかぬうちに写り込んでしまうくらいですから、結構行われているはずです。
 
しかし四年前に比べると大幅に信号が増えています。バイクに対する車の割合も増えています。信号を渡るとき、バイク相手なら死ぬことはないと意を決して以前は渡っていましたが、車やバス相手では命の危険が上がります。日本人的には道路横断の難易度が上がりました。車が信号を守ってくれれば良いのですが、まだそこは無理のようです。

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さて、ドンコイ通りにつきました。本当はCaravelle Hotelに泊まりたいのですが、会議のために満室でした。仕方がないのでCatina Saigonというホテルを予約してあります。タクシーでSheratonにつけてもらって徒歩2分です。便利な場所です。

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Catina Saigonの部屋です。実は窓のない部屋


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であると予告されていましたが、壁が白いのと天井が高いので余り苦痛ではありませんでした。案外空気も淀んだ感じではなくよく管理されています。ただ、嫌いな人は嫌いでしょうね。

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一夜開けCaravelle Hotelの会議控室です。なかなか立派なホテルです。ホーチミンではかなり上位のホテルでしょうね。


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会議も終わったので打ち上げです。親しい日本の方とHoa Tucという隠れ家的な欧米人向けレストランで夕食です。デング熱も怖いので虫よけを塗って屋外で乾杯します。熱帯の植物がたくさんでボタニカルテイスト満点です。
ただ、数分だけスコールにやられた時は焦りましたが…。
 
南国の異国情緒満点です。日本人でもシンガポール在住やハノイ在住の方々もいますので各国の話題に花が咲きます。

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ビールはベトナムでお馴染みのバーバーバー(333)です。

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一夜開けて8時すぎですがもう帰らないと行けません。唯一市民劇場だけ外観を見ることができました。


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さよならベトナム

CX503 KIX HKG C クラス

会議に出席するためホーチミンHồ Chí Minhに出張することになりました。しかし前回のベトナム渡航の時にベトナム航空は特に良い印象も悪い印象もありませんでした。また機材の当たり外れが大きすぎるので、今回は乗継便を使うことにします。

 
ビジネスクラスが17万円で買えるキャセイパシフィック航空が最もコストパフォーマンスが良さそうです。本当のところ私は国内でANA贔屓ですのでスターアライアンスが良いのですが、サービスに定評のあるキャセイを体験するのも悪くないということで、決めてしまいました。さて、どんな旅行になったでしょうか?

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さて、関西空港からまずは第一レグの香港行きです。CX503のビジネスクラスは4割くらいの搭乗率です。私の隣は空席でしたので快適な旅になりそうです。本日のshipはB-HNMということで、リージョナルビジネスクラス搭載のERでないBoeing777-300ですね。機材変更の多いキャセイでしたが、最初は順当です。

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乗りました。ビジネスクラスとはいえ割と狭いですね。ただ、リージョナルビジネスクラスの中でも新しい座席なので、蹴り込みが大きく足が伸ばせたり、バックシェル方式だったりと工夫はされています。4時間ならまあまあ快適に過ごせます。
 

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まずは温めたナッツと食前酒、と行きたいところですが会議の準備があるのでお酒は飲めません。大変残念。復路に期待です。
 

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スターターが来ました。パンが来る前の写真ですが、パンもライ麦やらディニッシュやら色々用意されてます。私は頑なにバターロールでしたが…
エビは例によって2匹。オレンジ系のソースがかかっていて、正直私は苦手なのですが、機内で出てくると気分が変わるのか全く問題なし。
 

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メインはチキンをチョイスしました。非常に柔らかく煮込まれており、角煮みたいな味付けです。ご飯はパサパサのジャスミンライスでこれはやはり日本の航空会社の勝ちですね。
ソフト面でのサービスも細やかです。私がアルコールNGと判断したらしく、ノンアルコールのジュースやコーラだけを取り揃えて運んできてくれます。7upを貰いましたが、料理にあいません。残念。
 

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フルーツが苦手なのですが、チーズはワインがなくても平気なくらい好きなので盛り合わせてもらいました。キャセイの機内でフレッシュフルーツを断る客は珍しいようですね。オススメなので是非と少しだけ添えてくれました。
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キャセイのビジネスは本当の"フル"コースです。この後香港風ミルクティーを頂き、ハーゲンダッツのアイスクリームがあり、最後はプラリネです。もう満腹です。仕事できません…
 

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ちなみに私は身長185cm以上ありますが、足回りのスペースはこんな感じです。広くはないですが悪くありません。意外と快適です。

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まもなく香港に差し掛かります。
空域混雑で2週くらいホールドがかかりましたが定刻です。

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チェックラップコックChek Lap kok国際空港です。実に巨大な空港ですね。香港には入国しませんが、セキュリティはあります。ここを通ってワンフロア上がって次の便までラウンジでも行きましょうか。

JAL SKY SUITE 777 を国内線で体験

年に10回くらいは東京出張をこなしていますが、新幹線、飛行機ともにお馴染みの機材、座席になってきてしまいました。少し刺激がほしいところです。 幸い今回の東京出張は朝一番ではないため、少し時間はかかっても変化をつけた移動を楽しむ余裕があります。そこで思いついたのが、伊丹-成田線に乗ってみることです。ただ、ANAの伊丹-成田線は国内線仕様の737になりましたので、狙い目はJAL,そしてクラスJ扱いの長距離用ビジネスクラスです。どのような設備なのでしょう?

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曇り空の伊丹空港にレイクドウイングレットのついたエンジンの大きい777が止まっています。本日のshipはJA740Jでした。

乗り込みました。横幅が狭いのと、窓側席に入る通路は本当に狭いです。ただ、一旦自席に入るとたいへん快適です。巡航に入るまでは隣の乗客との間のディバイダーは開けておく必要があります。

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さあフルフラットシートです。私は185cm以上ありますが、しっかり足を伸ばせます。枕がないのでフルフラットは寝心地が悪いですが、国際線運用時はマットレスも枕もあるので至って快適でしょう。

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ディバイダーを上げるとほぼ個室です。寝っ転がって天井を見ているとこんなアングルです。CAさんの顔すら見えません。

このディバイダー、お隣さんからもこちらからも操作できるようですが、声をかけずにいきなり閉めると感じ悪いかもしれません。国内線の1時間くらいならいいですょうが、12時間も隣に座る人に悪い印象を持たれても嫌ですので、一声かけるのが吉でしょう。 電車の座席のリクライニングさえも丁寧にご挨拶してくれる人がいますがそれぐらいでいいようです。

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コントローラーはかなり細やかに調節できます。ただ、ここまでこだわって座席のフィッティングを調節する人はいるのでしょうか?

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成田のR/W34L着陸です。

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横幅の狭さはご覧いただけたでしょうか? ディバイダーや座席のコントローラーの分厚みが増えて座席が狭くなっています。ただ、私のように狭い空間でも平気(むしろ嫌いじゃない)な人は問題ないです。

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着陸後のビジネスクラスの様子です。ANAの様に完全にstaggerさせているわけではなく、少しずつずれているだけという少しかりにくい構造です。実際に写真でご覧ください。窓側の座席は荷物スペースが不足です。

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成田からは京成スカイライナーです。印旛日本医大までの間は爆速です。さて仕事です。(おしまい)

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